夏期セミナーの歩き方


「何も知らずに歩くよりガイドブックをもって楽しんでもらいたい」
初参加の方も,リピーターの方も,一人ひとりにとって,
このセミナーがさらに良い場所になればと願っています。
この「夏期セミナーの歩き方」を読んで,ぜひ想いをふくらませてみてください。


企画:「歩き方」プロジェクトチーム
 

 

〜朝〜

爽快な目覚めだ。
「喜鶴くん,ご飯いく?」
同部屋になった加瀬見くんに声を掛けられ,朝食会場へ向かった。
「昨日はどうだった?」
「緊張したけど,案外あっという間に終わっちゃったよ!懇親会で夜遅くまで話し込んじゃってさ・・・。ちょっと眠いよ。」
「そういえば女の子と二人で話してたよね!加瀬見くん,結構チャラチャラしてるね。」
「いやいや!そんなんじゃないよ!」
「どこ大?」
「北海道医科大学看護学部2年,20歳,A型。」
「さすがですね。」
「そういえば今日のポスターセッションって何かわかる?」
ポスターセッションが何をするものか,おれもわからなかった。
卒後臨床研修のしくみすらあまり知らない。
確か,卒後2年間行う「初期研修」と,その後3年間行う「後期研修」という二種類があった気がするが・・・
 

 

〜ポスターセッション〜

午前のセッションを終え,いよいよポスターセッションだ。
まず,スタッフから「ポスターセッションの歩き方」と題した説明を受けた。
どうやら,家庭医・総合医のための研修プログラムを紹介するコーナーのようだ。
会場にはついたてが並び,プログラム紹介のポスターが貼られている。
学会のポスター発表と似ている。
 
適当に,目を引いたポスターに近づいた。
その病院のスタッフが声をかけてくださった。
「こんにちは。これ資料あげますね」
「こちらの病院には,初期研修と後期研修があるんですか?」
「うちには後期研修しかないですね。」
少しがっかりした。
おれの興味は卒後2年間の初期研修にある。
その後の後期研修なんて想像がつかない。
 
しかし,考えを見透かしたかのようにスタッフは話を続けた。
「初期研修で忙しい病院に行くと,後期研修先をじっくり見学にいく時間がないんですよね。だから,学生のうちに後期研修プログラムの存在だけでも知っておくと便利ですよ。」
なるほど。
今ここで情報収集しておけば,家庭医・総合医系の研修プログラムを自分で探す手間が省ける,ということか。
 
「それでうちのプログラムの特徴は・・・」
その後,研修プログラムの説明を聴いた。
 
これが意外に興味深い。
なぜなら,家庭医療・総合医療のおもしろみが伝わってくるのである。
その施設は,患者さんとの医療面接をビデオに撮り,皆で観ながら良い点,改善点を話し合う,という研修をしていた。
地域のイベントに参加して健康教育を行う施設もあった。
研修内容は施設によって違っており,それを知るだけでも満足だった。
結局おれは,半分以上の施設を回って説明を受けてしまった。
 
 

ひとくちメモ

【ポスターセッション】は,
全国各地の研修プログラムや,
これからのキャリア形成についての情報提供の場です!
提示されている施設紹介のポスターを自由に見て回ることができます。

みなさんは,「初期研修の後」はどう考えていますか?

昨今医学生・研修医たちのあいだで関心が高まっている家庭医・総合診療医だけど「どこでどう研修したら良いの?」といった疑問は尽きません。
このセッションでは家庭医を養成する研修施設の情報を『集中的に』提供し,学生・研修医の将来の進路選択の手助けとなることを狙いとしています。

担当の方から説明を聞いたり,質問をしたりして,
自分にとって魅力的な施設を見つけてくださいね!
 

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〜セッション〜

午後には本日二度目のセッションが予定されていた。
過去に勉強会の参加経験もあるし,セッションでの立ち居振舞いは問題なかった。
 
しかし唯一気になるところがあった。
多くはないが,名刺を持ってきている学生がいる。
彼らはセッションで一緒の班になった参加者や,懇親会で話す先生に名刺を差し出していた。
確かに名刺があると便利だ。
名刺さえあれば後で連絡も取れるし,Facebookで名前検索もしてもらえる。
先生と話すときにも,名刺を渡すことで会話が生まれる。
おれは名刺を持ってきていなかったので,今回はノートにメモしたり,アドレス交換をして対応した。
 

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〜懇親会〜

セッション,全体シンポジウムが終わり,二日目の懇親会が始まった。
昨日早く寝た分,今日が本番だ。
さっそく先生に話しかけにいった。
というのも,家庭医療について疑問があったからだ。
「はじめまして。喜鶴二郎といいます。」
「こんばんは。渋い名前だね。」
「よく言われます。今回のセミナーで家庭医療を知り,とても興味がわきました。でも,疑問があって。家庭医のようにじっくり医療面接を行うと,診療時間が長くなりませんか?一人の患者さんの診療時間が長くなれば,一日でみられる患者さんの数は限られるんじゃありませんか?」
「重要なポイントに目をつけたね。それなら,うちの診療所を一度見に来てみてもいいかもな。」
「え?」
「時間の限られた中で家庭医らしい診療をするのにどういった工夫がなされているか,説明することもできるけど,自分の目で見たほうが納得できるかもしれないよ。」
「いいんですか?」
「これ僕の名刺だから,もし気が向いたら今度メールしてよ。日程調整するよ。君の名前なんだっけ?」
「喜鶴二郎です。」
「渋い名前だね。」
なんと,思わぬ所で実習の話が決まった。
確かに,話を聴くだけでは得られない情報が,実習では手に入るはずだ。
セミナーが終わったらお礼と合わせて日程調整のメールを送ろう。
一気に気分が高まって,その後も家庭医療の話,人生の話,について根堀り葉堀りきいてしまった。
 

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〜お風呂〜

懇親会を途中で抜け,風呂に向かった。
昨日もじっくりつかったが,俺はここのホテルの風呂が気に入っていた。
露天風呂なのである。
あっという間に駆け抜けていく夏期セミナーだが,慣れない環境の中で疲れもたまる。
その疲れを癒してくれるのがこの露天風呂。
一人でじっくり浸かる人もいれば,数人で話し込む集団も見られる。
おれは一人で風呂に浸かりながら今回の夏期セミナーを振り返った。
家庭医療との出会い。それに思いを寄せる学生,先生との出会い。
イベント企画のヒントも得られた。
そして,次のステップとして診療所実習のきっかけもつかめた。
さすがに風呂の中ではまとめきれない。
帰宅後,感想や学んだことをノートに綴ることにした。
 
明日はいよいよ最終日である。
今日が最後の夜だと思うと少しさみしい。
風呂を出たら,懇親会に戻ろう。そしてもっと色んな人と話そう。
見上げると,夜空に満天の星が浮かんでいる。
 

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〜閉会式後〜

「喜鶴くん!」
「おー,加瀬見くん!閉会式,いた?」
「いたよ。セッションが長引いたからギリギリになっちゃって。端っこの方にいたんだ。閉会式すごかったねー。」
「今まで色んなセミナー見てきたけど,やっぱ閉会式は盛り上がるね!」
「スタッフの人とか感極まった様子だったね。」
「一年以上かけて準備しているみたいだからね!達成感あるんだろうね。」
「喜鶴くん,僕,来年スタッフやることにしたよ。」
「え!誘われたの?」
「そう。懇親会でスタッフと話してさ。面白そうだったし。」
「もしかして,一日目の夜の女の子?」
「うん。いやいや,不純な思いはないよ?」
「なんて子だっけ?」
「湯河原かおる。10月29日生まれ。さそり座。札幌出身。」
「さすがですね。でも,楽しそうだねー!がんばって!!」
「ありがとう!」
「おれは色々ヒントを得られたから,またイベントを企画しようと思う!国際医療系と家庭医療系を合わせた,対話イベントにしようと思うんだけど・・・。そうだ,加瀬見くんも一緒にやらない?」
「え?でも企画とかやったことないし役に立たないと思うよ・・・。」
「ぜんぜん。ワークショップと同じだよ。初心者だからこそできることがあるのです!」
「うーん。そう言ってくれるなら。よし,面白そうだし,せっかくの機会だからやります!」
「よしきた!じゃ,また連絡するよ。」
「そうだね。これからまた何度か会いそうだね。」
「意外に,ここで出会った仲間と将来一緒に仕事することになったりしてね!」
「ははは。じゃあ,また今度!」
 

ひとことメモ

「夏期セミナーの歩き方」いかがでしたか。
不安は小さくなりましたか?ワクワクは大きくなりましたか?

この場所には,いつになっても変わらない空気があります。
そして,毎年,それぞれの参加者に訪れる物語があります。
このセミナーでは,みなさんひとりひとりが主役です。

「何も知らずに歩くよりガイドブックをもって楽しんでもらいたい」
初参加の方も,リピーターの方も,一人ひとりにとって,
このセミナーがさらに良い場所になればと願っています。

それでは当日みなさんにお会いできるのを楽しみにしています!
熱い2泊3日を過ごしましょう!

「歩き方」プロジェクトチーム一同
 

コラム3

スタッフに聞いてみました(第2段)& ラストメッセージ!

    1. 今振り返ってみて,夏期セミナーはあなたにとってどのような位置づけになっていますか?
    2. あなたにとって「夏期セミナーとは?」(一言でお願いします!)
     

ばかぼん(医学部5年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 緊張するけど可能性を広げられる場所。自分を試す場所。

2.一言で
 年一度の社交場
 

あや(医学部4年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 ど田舎の閉じられた大学生活だと忘れかけそうになる、医療の本質を追求する楽しさを教えてくれるアツい勉強会。

2.一言で
 最高の仲間をつくる、医療の祭典!
 

G(医学部3年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 医学生生活の分岐点。

2.一言で
 第2のホーム
 

NK(医学部4年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 自分の日々の勉強に対するモチベーションを上げる場。
 自分の将来について考える場。
 医学部を目指したときの初心に戻ることができる場。

2.一言で
 はじめるチャンス
 

ごっしー(医学部5年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 将来設計のターニングポイント。
 それまで「地域医療」とか「総合診療」という言葉に拒否感があったのに、それこそが自分が目指したい医療だと気づき、一気に世界が広がった。

2.一言で
 人生をより豊かにしてくれる出会いや気付きをもたらしてくれる、魔法の時間♪
 

KT(医学部5年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 貴重な出会いをたくさんいただきました。家庭医になるかならないかなんて関係なく,色々な人や先生と楽しくお話できる大切な時間です。

2.一言で
 いつ行くの?今でしょ!
 

じり(医学部4年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 家庭医療を学びはじめるきっかけ!
 夏セミで扉が開けた感じです。

2.一言で
 夏休みの一大イベント♪
 

M.M(医学部3年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 毎年参加するもの。
 行って、知識を増やして、自分のやる気を高めていきたいです。

2.一言で
 出会い!
 

ひだまり(医学部3年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 この後から、いろんなイベントに参加したり企画しはじめたりしたのでターニングポイントの一つだったと思います。

2.一言で
 出会いの場所!
 

DT(医学部6年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 ジェネラリストの魅力を最大限に感じられる機会。
一年に一度だけの家庭医療をはじめとするジェネラリストのツールを0から始めて100まで学べる場。これを逃すと一年損した気分になるようなそんなイベントです。

2.一言で
 良き友人、先生方との出会い・総合診療だけでなく将来を考える場として無くてはならないイベントですので多くの方々に是非参加してもらいたいと思います!

 

はる(医学部6年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 位置づけは難しいです。
 でも、自分の長い人生の中であっていい時間だと思う。

2.一言で
 試練
 

ゆってぃー(医学部4年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 学びと出会いの場。
 毎夏の恒例行事。
 1年の成長を見つめ直す場。

2.一言で
 情熱の塊。
 

TK(医学部4年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 様々な価値観を認めて、変えるきっかけを作ってくれる存在。

2.一言で
 相手を認めて、夢をシェアする場
 

shoei(医学部6年)

1.今振り返ってみての位置づけ
 知識を得,深めるだけでなく,全国から参加する学生・研修医,そして講師の先生方とのタテ・ヨコのつながりの架け橋となって,セミナーを足掛けに,キャリアの選択肢を広げ,将来について考えることができる場。

2.一言で
 オワリはじまり
 

みやっち
医師8年目
 
1.今振り返ってみての位置づけ
 非日常で次の世代の人たちと繋がる大切な場所

2.一言で
 色々な人たちが色々な糸で繋がりが生まれる場所

3.ラスト・メッセージ!
 「夏期セミナーは3日だけですが、もっと長い繋がりが生まれることもあります。「ごえん」を感じた時は、思い切ってあなたなりの一歩踏み出してみましょう!」
 
かめきち
医師10年目

 
1.今振り返ってみての位置づけ
 家庭医になると決めた場所でもないし、勉強になったか?と言われるとそうでもない。今の自分の家庭医としての人脈、人と人とのつながりは明らかに夏期セミナーで作られている。今の自分の大事な人との関係・ご縁は夏期セミナーをもって出来た。今も仕事をしていたり、など。

2.一言で
 ・毎年参加している→毎年違う、でも同じ大事なイベント。毎年全然違うドラマがある。
夜に誰かの人生がスパークしている。MVPみたいな人が毎年いる。
 ・自分の変化を確かめられる場所。自分の変化を感じる。同じ場所だから関わっていく・変わっていくものが見えやすい。

3.ラスト・メッセージ!
 ”懇親会の9カ条目”懇親会の終盤にこそ、大切な本音を聞き出そう!!”
 ”最初に「家庭医」を選んだら、選択肢を変えないことが正解!!”