学生・研修医部会 先輩インタビュー:吉羽史織先生

吉羽史織(よしば しおり)先生

・第29回 学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー セッション局長

・PCs 東北 代表(2016年度)

・現所属 :亀田家庭医総合診療専門医プログラム 専攻医2年目

・出身地 :神奈川県横浜市

・出身大学:秋田大学(2019年卒)

■学生時代について教えてください

 室内合奏団に所属し、バイオリンを弾いていました。また、第29回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナー(夏セミ)のセッション局長を務めました。PCs東北支部の活動にも関わっていました。

■夏セミやPCsに関わったきっかけを教えてください。

 大学入学前から家庭医に興味があったので、時間的に余裕のある大学1年生の夏休みに家庭医療の勉強会に参加しようと思い、インターネットで検索して見つけたイベントが夏セミでした。参加してみたところ楽しかったので、それからずっと参加し続けました。夏セミのスタッフになり、セッション局(※)に関わりました。5年生のときにセッション局長を務めました。

(※)夏セミの運営スタッフの所属グループの1つ。セッション局は主に、夏セミのセッションを公募・選考したり、セッションを担当くださる講師の先生方とやり取りしたりする。

■夏セミやPCsの活動で一番得られたことは何ですか?

 ”  沢山の仲間 ” です。夏セミが対面開催だった当時は、夏セミ当日とその前後の約1週間をスタッフの仲間とともに現地で過ごしました。家庭医療の世界に進んだ人もそうでない人もいますが、いまでも連絡を取り続けている仲間が一番大きな得られたものだと思います。特に、第29回のコアメンバー(実行委員長、副実行委員長と各局長・副局長)は、楽しい時期も大変な時期も共に共に乗り越えた特に大きな存在です。第29回のコアメンバー(実行委員長や局長などスタッフの中心メンバー)は、楽しかったもののやはり大変なこともあったので一緒に乗り越えた仲間で特に大きな存在です。

■夏セミでの経験が、現在家庭医として働かれている中で生きていると感じることはありますか?

 大きく2つあると思います。1つ目は、セッション局での活動の中で培った事務処理能力です。2つ目は、家庭医療学の知識や考え方です。夏セミに参加していた時は ” 遊びに行く ” という感覚だったので、家庭医療学を真面目に勉強していた訳ではなかったのですが、6年間夏セミで様々な企画やセッションに参加して、家庭医ならではの考え方がどこかに染みついていると感じることがあります。

■大学入学前から家庭医を考えていたとのことでしたが、家庭医を目指した理由を教えてください。

 高校生のときに、北海道の診療所の家庭医の先生に密着するテレビ番組」がありました。番組に登場した家庭医の先生が地域の人たちの事をすごくよく知っていて、地域の人たちもその先生の事をよく知っている、という関係性を築いていていました。そのような一番地域の人に近い家庭医の先生の姿が自分の目指す医師としての姿だと思いました。

■家庭医以外の道を考えることはありませんでしたか。

 大学の実習はどの科も楽しかったのですが、家庭医という進路ほどに進みたい科は特にありませんでした。初期研修先は亀田総合病院の地域ジェネラリストプログラムを選びました。初期研修中から総合診療科や家庭医診療科も回り、家庭医診療科の外来も初期研修医が担当するというプログラムでした。研修中は他のどの科での研修よりも家庭医診療科の外来が一番楽しかったので、そのまま迷わず家庭医の道に進む事を決めました。

■実際に亀田総合病院の地域ジェネラリストプログラムで初期研修をして感じた印象を教えてください。

 病院の家庭医診療科の外来を実際に担当してみて、家庭医は自分の目指す医師像だと改めて感じました。亀田総合病院の初期研修プログラムでは2年間を通じて月に2回、亀田ファミリークリニック館山で半日間外来を担当します。診療所内に、研修医から質問を受ける専門の指導医の先生がいらっしゃって、医学的な相談にも家庭医目線の相談にも乗ってくださいます。1例1例相談して(患者さんを)返す、という流れで外来を進めていくと、初期1年目は1人1時間与えられている外来枠も、あっという間に終わってしまいました。1症例1症例を丁寧に一緒に診ていただける研修はとても良かったと思います。

■初期研修期間中に、それまでの家庭医へのイメージと異なった点はありましたか?

 家庭医の診療の幅が思っていたよりも広いと感じます。かかりつけ医というざっくりとしたイメージを持っていましたが、本当に様々な事を患者さんから相談されます。禁煙外来、精神的な相談、不登校、小児の便秘、など無限に主訴が出てきて、困惑することもありました。あまりにも幅広い診療領域に、自分が家庭医として今後やっていけるのかという不安は多少あったと思います。しかし、それを1つ1つ上の先生と相談しながら、道を探るという事が楽しいと思ったので、今は家庭医の道に進んでいます。

■現在、専攻医として働く中で、1番嬉しいと感じることは何ですか?

 初期研修医1年目から担当しているかかりつけの患者さんから、「私の子供を診てもらっていいですか」など家族を紹介してもらえると、すごく嬉しいですし、やっていてよかったなと思います。

■将来の野望はありますか?

 家庭医はいいと思っていて地域にとっても必要な存在だと思っているので、地域の人たちや他の医療従事者からも家庭医っていいね、必要だよねと思ってもらえるようになる活動をしたいと思っています。

■座右の銘は何ですか?

 ” とにかく楽しむこと ” を大切にずっと生きてきました。「置かれた場所で咲きなさい」という事だと思います。家庭医はどの病院の研修プログラムでもいろいろな科をまわってそのまわった専門科の中で家庭医として必要な知識を学ぶ期間が長いです。そこでいかに楽しめるか、いかに学べるかを大事にしていこうと思っています。

■最後に、このサイトを見ている学生、研修医に一言をお願いします。

 「家庭医になりたい」と周囲に言うと、「家庭医だけはやめておいたほうがよい」などネガティブな発言をする人が一定数いると思います。総合診療医が専門医として認められている事を知らない人も大勢います。家庭医や総合診療医のことをよく知らない人に耳を傾ける必要はないと思い、私は8年間自分を信じて進んできました。家庭医を専攻し、家庭医は患者さんから必要とされていると感じる時も多くあるので、みなさんの「家庭医を目指したい」という気持ちをぜひ大事にしてもらいたいと思います。そして、ぜひ一度、家庭医の診療所、できれば亀田の診療所の見学に来てもらって、色々な家庭医の先生とお話してもらえればと思います。

[インタビューおよび記事作成]

橋本(夏セミ&PCs九州)

伊庭(PCs関東)

緒方(夏セミ&PCs九州)

小玉(夏セミ&PCs東北)

西郡(夏セミ& PCs九州)

福室(PCs関東)