【第35回夏セミ】セッション一覧

学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーでは、全員参加型の「企画」と、少人数形式の「セッション」をご用意しております。
このページでは、第35回学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーで開催予定のセッションを公開しております。
夏セミにおける「セッション」とは…

★講義だけではなくディスカッションも含む参加・体験型のグループ学習!
★受けられるセッションは全部で4種類
★セッション1~4それぞれの中から、希望のセッションを1つずつ選ぶことができます!
★2023年度は現地開催で19種類、オンライン開催では15種類をご用意しています!
★家庭医療・総合診療について体系的に学べるよう、セッション1〜4は総論から各論になるようにご用意しています!

各セッションのテーマが記載されています。セッション選びの参考にして下さい。
各テーマについての解説はこちら
セッション選びの目線から、各セッションにハッシュタグを付けています。以下のサイトで絞り込み検索をすることができます。
ハッシュタグ別セッション一覧はこちら(外部サイト)

なお、このセッション一覧は2023/5/9時点での情報です。今後、セッション講師や概要などに変更がある可能性もございますので、ご理解の程よろしくお願い申し上げます。

目次

クリックすると詳細が記載された箇所まで飛びます

1コマ目(8月12日(土)15:50~17:40)

●現地開催

テーマ:PCCM(患者中心の医療)

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生

代表講師:溝越けやき(亀田ファミリークリニック館山)

『患者中心の医療の方法(PCCM:Patient-centered clinical method)』という言葉を知っていますか?「患者中心の医療」は聞いたことのある人も多いかもしれません。では、患者中心の医療の方法には学問として体系化された手法があるのはご存知でしょうか?患者が医療の中心だ、というのは当然のように感じるかもしれません。しかし、皆さんも病院実習などを通して、患者さんが診療の中心にいないと感じる場面を目にしてきたのではないでしょうか。そんなモヤモヤを抱える皆さんにこそ、是非PCCMを知って実践して欲しいと考えています。当院で行われているPCCMを実践した外来を見学した学生さんは、「外来がドラマになる」と表現してくれました。そんな、時には心を揺さぶられるような外来をしてみたいと思いませんか? M. Stwartの”Patient-Centered Medicine Transforming the Clinical Method”という本に書かれた4つのコンポーネントを理解することで、あなたも必ずPCCMを実践することができます。PCCMについて学ぶことで、私たちと一緒に家庭医療の最初の一歩を踏み出しましょう!

テーマ:BPSモデル

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:加藤優一(川崎市立多摩病院総合診療内科)

このセッションでは「BPS(生物・心理・社会)モデル」を学びます。皆さんはこれまで授業で生物医学的知識(病名、病態、診断、検査、治療など)を勉強してきたと思います。しかし実際の臨床の現場ではどんなに検査しても異常が見つからず、薬を色々と試しても一向に良くならない患者さんがいます。イヤーノートや病気が見えるでは解決できない問題です。家庭医だからこそ解決できる、しかもこの講座を学べば皆さんでもすぐにできるようになる臨床技法がBPSモデルです。このセッションではそんな生物医学的知識だけでは対応できない事例をもとに、実際にBPSモデルを使い皆さんの手で解決してみましょう!家庭医療学の考え方を通じて、家庭医療のおもしろさを体験していただけたら嬉しいです。さあ皆さんも多摩病院の家庭医スタッフ・研修医と一緒に家庭医だからこそ出来るBPSモデルを楽しく学びましょう!

テーマ:地域志向性アプローチ

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:神谷龍輝(藤田医科大学総合診療プログラム)

私たちは、地域にとって必要な医療・介護・福祉をつなぐ病院~コミュニティホスピタル~の活動の一環として、まちづくり活動を行っています。専攻医教育でもCOPC(Community Oriented Primary Care)の概念を用いながら、地域をみて、地域をアセスメントし、もっと健康なもっと良い地域にするための術を学んでいます。このセッションではそんな研修の一端を参加者の皆様に体験して頂き、明日からでも試せる、皆様の地域をより健康で幸せにするための術を伝授します!地域でのアクションに繋がるだけでなく、普段の診療でも個人から地域まで目が届き深みがでるこのスキル。これは総合診療医ないし家庭医にとって不可欠なスキルです。

 特別な医学的な知識は要りません。医学生はもちろん、多職種のいろんな価値観をもった方々に参加して頂きたいセッションです!!フィールドワークもあります!

テーマ:NBM

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:宇敷萌(群馬家庭医療学センター・利根中央病院)

みなさんは、患者さんの物語に、耳を傾けたことがありますか? “Listen for stories” 患者さんの物語を聴き、理解し、表現しようとすることは、聴き手自身の内面にも向き合っていくことにもなります。そして、患者さんにとってよりよい医療とは何かを考え実践することの基本となるだけでなく、医療者自身の成長にもつながっていきます。まずは、患者さんの語りを聴くことに興味を持ってみる、ここから始めてみませんか。一歩踏み出すと素敵な出会いがきっと皆さんを待っています。このセッションでは、患者さんの語りを聴いてみる体験を通して、Narrative based medicineとは、どのようなことなのか、一緒に考えていきたいと思います。患者さんの物語を聴く旅へ、私たちと出かけませんか?

テーマ:家庭医の専門性

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:濵田航一郎(長崎大学病院 総合診療科)

学生実習や初期研修では外来診療をみる機会は多くないかもしれません。外来診療の場には、1度きりの受診で終わる風邪などの患者さん、慢性疾患で「いつもの薬」をもらいに来る患者さん、新たな疾患が見つかり高次医療機関での精査が必要になった患者さんなど、様々な患者さんがやってきます。通常は病態生理に基づいて診療を進めますが、それだけでよいのでしょうか。どういうことを意識して診療すればよいのでしょうか。診療の構造のモデルの1つであるTOPICモデルでは、外来診療の役割を「新しい問題」「ヘルスメンテナンス」「慢性疾患のケア」「心理社会的問題」「行動変容」の5つに分け、それぞれなすべきタスクが示されています。このモデルを用いることで、取りこぼしのない戦略的な外来診療ができることが期待されます。さらに、これらのタスクの達成には、家庭医療のコアコンピテンシーに含まれる患者中心の医療や生物心理社会モデルなどを用いたアプローチが求められます。TOPICモデルを用いて外来診療を紐解き、より深く学びましょう。

●オンライン開催

テーマ:家庭医とは、家庭医の専門性

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:原田直樹(津ファミリークリニック)

「家庭医療や総合診療に興味あるんだ~」と家族や友人に話したとき、「家庭医療(総合診療)って何?」「何でも診るってどういうこと?」「専門を持った方がいいんじゃない?」「総合内科とどう違うの?」と聞かれたことありませんか?そしてその質問にうまく答えられず、うやむやな感じで終わったことありませんか?まだ家庭医療の研修を受けてもいないのでこれらの質問にうまく答えられないのは当然のことですが、それでもうまく答えたいものですよね。そこで、このセッションではこういった質問に対してどう答えると相手に伝わるのかを一緒に考え、答え方を身に着けていきます。うまく答えるために必要な情報は、家庭医療の基礎知識・エビデンス、日本の現状と将来の展望など幅広く用意します。逆風(?)に耐え生き延びてきた、先輩家庭医・専攻医が、伝え方のコツも伝授します。さあ、明日から自信を持って家庭医療について説明できるようになりましょう!

テーマ:家庭医の専門性、患者中心の医療

対象者:総合診療・低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:小幡健太(静岡家庭医養成プログラム/菊川市家庭医療センター)

患者中心の医療の方法(PCCM:Patient-Centered Clinical Method )または患者中心の医療(PCM:Patient-Centered Medicine)を知っていますか?患者中心の医療の方法(以下PCCM)は、家庭医・総合診療医から切り離すことができない、身につけるべき臨床技法の1つです。また、どの医療系職種にも役立ちます。あなたの現在や将来の手助けとなるでしょう。しかし、PCCMは概念的なところもあり、独学が難しいです。このセッションでは、PCCMを使用し外国人患者さんのケースを見ていきます。PCCMのビギナー・自信がない方・苦手の方を対象として、PCCMの概念やノウハウを学んでいただきます。あなたのこれからにきっと役に立つでしょう。静岡家庭医養成プログラム講師陣がわかりやすくお届けさせていただきます。是非この機会にPCCMを学んでみませんか?

テーマ:BPSモデル

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:磯田翔(大阪医科薬科大学総合診療科)

BPSモデルとは ●●です。BPSモデルにより●●が可能となります。」と言われても、
ピンとこない人多いのではないでしょうか?何となく理解しても、「BPSモデルがなんと
なくいいのは分かったけどそれってどの科でもやってるんじゃないの?」とか「総合診
療・家庭医療に専門性ってあるの?良く分からないな~」と感じた人もいるのではないで
しょうか?全く同じことを思っていた初心者である自分が総合診療のメッカ、大阪医科薬
科大学病院総合診療科に入門して、BPSモデルを実践するうちに徐々に理解を深め自身の
認識を改めた経験をぜひ皆さんと共有したいと思います。「BPSってなんだかな~」とい
う気持ちが「BPS結構やるじゃん」と思えるまでを、本セッションでは、BPSモデルや
家庭医療に関するショートレクチャーだけではなく、具体的事例に関してグループディ
スカッションを行います。BPSモデルや家庭医療の持つ専門性への理解を深めていきま
しょう

テーマ:多職種連携

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:藤谷直明(よつばファミリークリニック)

あなたは多職種でのカンファレンスに参加したことはありますか? 臨床の現場では、患者さんや家族の意向と各職種での評価をもとに話し合い、チームで意思決定をしていきます。そうすることで、患者さんにとって一番良い方法をみんなで探していくのです。 このセッションでは、参加者にそれぞれ患者、家族、医師、看護師、リハビリ、ソーシャルワーカーの役になってもらい、職種ごとにレクチャーを受けた後に、多職種カンファレンスのロールプレイを行います。 職種ごとのレクチャーはどの職種も、現職で活躍されている方々です!実践的な視点と各職種がどんなことを考えてるのか、その価値観や哲学を学びましょう! そして、ロールプレイでは1つの立場から見えなかった様々なことが明らかになります。そんな中、チームで結果をだすにはどうすればいいか、実際にカンファレンスをして、学びましょう。 各職種の視点を学び、多職種での意思決定を体験しましょう!

2コマ目(8月13日(日)9:20~11:10)

●現地開催

テーマ:SDH

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:藤田耕己(北足立診療所)

都市部のレジデンシー、CFMD東京のレジデントが贈ります。家庭医レジデントが様々な研修環境の中で経験した「どうしてこんなことが・・・」「なぜここまで・・・」の事例をもとに、患者さんや家族を取り巻く社会的環境について理解を深める過程で、「健康の社会的決定要因:SDH」とは何なのかを探るワークです。都市部ならではの健康問題、レジデントが抱える悩み、そこにはどんなアプローチができるのか・・・。SDHの概要を学び、事例をもとにしたグループワークから、参加者みなさんの『SDHのパール』を見つけ出しましょう。事前知識は必要ありませんので、どなたでも気軽にご参加ください!

テーマ:EBM

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:沖中 郁実(上尾中央総合病院)

”EBM(Evidence-Baced Medicine:根拠に基づく医療)”と聞いて、みなさんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。論文?エビデンス?難しい理論?…でしょうか。結論を言うと、EBMとは「道具」です。目の前の患者さんにとって最善の選択は何か。そんな疑問を解決する為の大きな力を与えてくれます。セッション当日はEBMの5つのStepについて解説した後、みなさんには実際の症例を通じてEBMの実践を体験してもらいます。多職種で学ぶことで新しい視点を学び、よりよいディスカッションが出来ること間違いありません。さらに家庭医・総合診療医がEBMを実践する姿をご紹介しながら、明日からの臨床実習/研修で実践できるEBMの手法を伝授していきます。

テーマ:医療面接

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医

代表講師:木村 信之(北海道家庭医療学センター 向陽台ファミリークリニック)

外科医にとっての手術がそうであるように、循環器内科にとってのカテーテル治療がそうであるように、家庭医にとっての医療面接は、専門家としての勝負所の一つであり、長年かけて研鑽を積んでいくべき領域です。熟達者の医療面接は医学というよりもある種の芸術のように見えます。それでは、家庭医は医療面接の技術をどうやって磨いているのでしょうか?そもそも何が良い医療面接なのでしょうか?本セッションでは英国家庭医のRoger Neighbour先生が著したInner Consultationというモデルを通じて家庭医の医療面接を解説していきたいと思います。医療面接の奥行きを垣間見て楽しんでいただければ幸いです。

テーマ:困難事例への対応

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:谷口尚平(日南町国民健康保険日南病院)

医学を学べば、医学が進歩すれば、医療現場で起こることは予測可能になるのでしょうか。コロナウイルス感染症のパンデミックを予測できた人はいたでしょうか。いくら医学が進歩したとしても、医療現場では予測不能な出来事がおこります。ふらつきのため来院した患者が夫を亡くした悲しみを語り出した。忙しさのあまりスタッフでコミュニケーションが取れずミスが多発した。このような予測不能な「不確実な」状況に直面し、どうしたら良いのか分からず、困惑することも少なくありません。しかし、医療者はそんな状況でもプロフェッショナルとして何かのアクションをしたり、何もしないことを決断する必要があります。本セッションでは医療における不確実性のマッピング(Mapping Uncertainty in Medicine)の考え方として不確実性を4つに分類する方法を学び、事例を通して不確実性への対処法を身につけていくことを目標にしています。

世の中が予測不能であることは変わりません。しかし、このセッションの後には、そんな世の中を少し楽に歩くことができるようになっているでしょう。

テーマ:チーム医療・多職種連携

対象:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:安藤崇之(慶應義塾大学医学部総合診療教育センター)

超高齢化社会を迎える日本では、患者さんが「食事が摂れない」という問題によく直面します。「食事が摂れない」という問題には様々な要因が絡んでおり、病気へのアプローチだけではうまくいかない事が多いです。そういう場合には、他の職種の力も借りて患者さんの状況をいろいろな角度から分析して考えてみることが必要です。患者さんとの関わりの視点は職種ごとに異なるため、それぞれの強みを活かしつつ他の職種の専門性を尊重しながら連携していくことが大切です。今回は「食事が摂れない」という問題を抱えた患者さんに対して、現場に出たらどう向き合ったらいいのか、多職種チームの力をどうやったら最大限に発揮できるかを参加者とともに考えます。講師にも医師のみならず看護師、薬剤師、リハビリ、ソーシャルワーカーなど様々な職種が参加し、現場のリアルをお伝えします。食べることを諦めらないためにやれることがたくさんある!これから医療現場で活躍する皆さんの視点が拡がること間違いありません!

●オンライン開催

テーマ:家族志向性アプローチ

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:江副一花(萩市国民保険大島診療所)

「家族志向のケア」って聞いたことはありますか?目の前に座る患者さんは一人でも、その背後には家族がいます。患者さんの背後に広がる家族関係がリアルに想像できるようになることは、患者さんを理解するにあたって非常に有用な技術となります。私たちはファミラボという医療者向けに家族の支援について学び・発信している団体で、今回はそのエッセンスをお伝えできればと思います。このセッションのテーマは、私たちが患者さんとして触れる機会の多い「高齢者」における家族志向のケアです。自身や同世代が老いていくことに対する高齢者の気持ちや、その高齢者を介護する子世代の置かれた立場について、家族ライフサイクルからどのようにアプローチできるか考えます。「家族志向のケア」を初めて聞いた人も、学んでいる最中の人も、一緒に学びを深めましょう。

テーマ:家庭医の専門性、SDH

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:蓮間英希(ファミリークリニックなごみ)

80歳独居の大阪太郎さん。ある猛暑の夏の昼間にケアマネジャーが大阪太郎さんを尋ねてみると、そこには、ビールの空き缶や電源の切れた冷蔵庫、止まったエアコンがあった!そして太郎さんの意識はもうろうとしていた!高齢者の熱中症の真の原因とは?社会的な問題はないのか?!健康に気を遣えるというのは、実は恵まれているということでしょうか?大阪で集めたデータも示して、原因を考えてもらいます。大阪らしい?コテコテの症例を通じて、「健康の社会的決定要因(SDH)」について掘り下げます。SDHとは、生まれ育った国・地域・家庭などにより教育水準や所得などに格差が生まれ、その人の健康に直接的な影響が及ぶことをいい、英国ではすでに医学教育が始まっています。そのSDHの視点から患者さんを診る方法を伝授します!熱中症やSDHに関するレクチャーと動画視聴、SGD(スモールグループディスカッション)を通して、SDHの視点から患者さんを丸ごと理解できるようになることを目標としたWSを開催します。

テーマ:行動変容

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:大塚亮平(手稲家庭医療クリニック)

「頭ではわかっているけれど、○○できない」(禁煙、節酒、運藤、ダイエット、早起き・・・) 日常診療でしばしば遭遇するこのような場面、説得や指示する方法では患者さんの行動が変わらないばかりか関係性が悪化することさえあります。こんな時に助けてくれるのが「動機づけ面接 Motivational Interviewing」です。動機づけ面接は、患者さんの中にあるやる気を引き出し、行動変容を支援する会話スタイルです。行動変容のアプローチの中で最もエビデンスのある方法の一つで、医療だけでなく、福祉・教育・司法など様々な対人援助領域で活用されています。このWSでは、動機づけ面接の根幹となる考え方を学び、基本スキル(開かれた質問、是認、聞き返し)を練習します。WS参加にあたり医学的知識は不要です。このスキルは診療だけでなく、普段の生活にも役立ちます。経験あるトレーナーと一緒に楽しく学んでいきましょう!

テーマ:地域志向性アプローチ

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:漆畑宗介(JA秋田厚生連 湖東厚生病院/秋田大学医学部附属病院総合診療医センター)

全国各地の実践者・先駆者へのインタビューをもとにまとめた、地域志向アプローチのエッセンスをお披露目です!日本プライマリ・ケア連合学会の地域ケア事例集作成プロジェクトチームでは、2021年から地域志向アプローチのエッセンスを広く各地で参照いただけるよう言語化を進めてきました。地域ごとに事情が違うためマニュアル化が難しい地域志向アプローチですが、共通のエッセンスを用いればどこでもうまく介入することができます。このセッションは、出来立てのエッセンスを用いて実践者から具体的な地域志向アプローチの体験を聞いたり、参加者同士の対話から新しい気付きを得ることができます。エッセンスを学ぶだけでなく、仲間と思いを共有する本企画は、きっと明日からの地域志向アプローチに生きてくるはずです。できたてほやほやのエッセンスを用いて、楽しく地域志向アプローチを読み解いてみましょう!

3コマ目(8月13日(日):13:10~15:00)

●現地開催

テーマ:スポーツ医学

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:松田諭(ファミリークリニックさっぽろ山鼻)

「スポーツ医学」と聞くと整形外科医が行うものというイメージをもっていませんか?実はスポーツ競技において起こりうる健康問題は、整形外科疾患のみならず、喘息や貧血、心疾患の問題、熱中症や皮膚の問題、アンチ・ドーピングなど幅広い健康問題があります。また、運動には生活習慣病を含め多くの健康アウトカムを改善させるというエビデンスがあります。さらにスポーツ医学では上記のように各疾患に対応するだけでなく、大会救護など集団に対する活動も必要とされていることから、まさに家庭医療・総合診療の視点はスポーツにとても親和性のある領域と言えますこのセッションでは、家庭医療的な視点を持ちながらどのようにスポーツ医学に関わっているのか、実際に事例を体験しながら「プライマリ・ケアスポーツ医学」をワクワクしながら学ぶWSにしたいと思っています。事前知識がなくても大丈夫!キャリアとして整形外科にとどまらない、ジェネラルな視点をもったスポーツドクター&コメディカルになりたい!という方々、実際に活動している先輩医師にも話を聴くことができますよ!ぜひご参加ください!

テーマ:​​臨床推論

対象者:中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医

代表講師:森田修平(静岡家庭医養成プログラム/菊川市家庭医療センター)

コロナ禍でなかなか身体診察を行ったり、学ぶ機会が少なかったのではないでしょうか。今回は頭と体を動かしながら身体診察と臨床推論を学べるWSを企画しました! このWSでは、初期研修までに身につけておくべき基礎的な身体診察のおさらいと身体診察を交えた臨床推論ゲームを小グループ形式で行います。今回のテーマは「腹部診察と腹痛」です。 身体診察を学び始めた方、OSCEで腹部診察やったけどイマイチ自信がない医学生さん、救急外来で腹痛を診てる初期研修医の皆さん、静岡の家庭医と一緒に現場で使える“ホンモノ“の身体診察を学びましょう!グループワークではSFM講師陣が手厚く指導,フィードバックします。一緒に楽しく学びましょう。みなさまの参加をお待ちしています!

テーマ:援助的コミュニケーション

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:江口智子(南由布クリニック)

「なんで自分がこんな病気になってしまったんだろう・・・」「こんなことなら早くお迎えが来ないかしら・・・」

病気、障害、老い・・・。理不尽にもそれらと直面せざるを得なくなった苦しみを打ち明けられた時、力になりたいと思いつつもどうしたらいいのか分からなくなったり、話を聞くことが苦しくなったりしたことはありませんか。苦しみを抱えた人を前に私たちに何ができるのか。自分自身も燃え尽きてしまわずに、苦しみを抱えた人の支えとなるために。援助的コミュニケーションについて、講義やロールプレイを通じて一緒に学んでみませんか。

テーマ:ACP(死生観等)

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:石川輝(さいたま市民医療センター)

のセッションは家庭医とチャプレンが送るAdvance care planning(以下ACP)関連の話題を扱います。ACPはそれぞれの「価値観」を大切にします。あなたの人生にとって大切なものはなんですか?そしてACPが歴史的にどのような変遷を経てきたのか、そして今日本の医療現場では実際にどのように応用され、どのような課題があるのかを共有します。ところでみなさんは「チャプレン」って知っていますか?チャプレンは病院で働く聖職者であり患者さんの看取り、ご本人、家族、医療従事者の心のケアを専門にしています。米国では6割以上の病院にチャプレンが在籍しています。一人ひとりの文化や価値観、宗教観などを大切にケアを提供する様はまさに我々医療者が普段行っている、行いたいと思っているACPと通ずるものがあります。コロナ禍の米国でチャプレンとして活動した経験をもつ関野和寛牧師を迎えて、家庭医とチャプレンが終末期の患者さんに提供できることをみんなディスカッションしたいと思います。聴診器では聴こえない、患者さんたちの心の声に耳を澄ましてみませんか?

テーマ:認知症医療

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:山田龍之介(関西家庭医療学センター)

高齢社会を迎え増え続ける認知症患者さんにはどのようなケアが必要でしょうか?神経内科や精神科のような「脳内」の専門家が担えば十分だと思っていませんか?実際には認知症は疾患そのもの以上に、本人の価値観の把握や介護をする家族・施設への配慮、病気が進行した時の対応の相談、介護・福祉などの地域包括ケア、社会的処方など様々なアプローチが必要となります。これらを得意とするのが、家庭医療を実践するプライマリケアチームです。このワークショプではプライマリケアでの認知症診療を疑似体験する中で、認知症診療の枠を超え、家庭医療の面白さ・難しさ・やりがいに触れることができます。認知症の知識がなくても大丈夫です!家庭医療が何か気になっている方、家庭医療をより深めたい方、現場でどのように実践するのか気になっている方など、どなたも大歓迎です。一緒に考え、家庭医療の魅力を味わいましょう。

●オンライン開催

テーマ:病院家庭医・診療所家庭医・病院総合診療医の働き方

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:岡田悟(東京北医療センター)

総合診療医はカメレオンのような存在です。現場のニーズに合わせて自分たちの役割や仕事の内容を変えます。一口で総合診療と言っても、みんな違います。特に入院診療を中心に行っている病院総合診療医と外来や在宅患者を主に診る家庭医は、総合診療医として共通のコンセプトを持っていますが、立場の違いで考え方も多少異なります。このセッションでは、南山堂刊「土曜日の紹介は嫌われる」でおなじみの実際に東京都北区赤羽・浮間地区で行っている病診連携カンファレンス「UKカンファ」を再現し、一人の患者さんを病院総合診療医と家庭医のそれぞれ立場からどういった点に注目して診ているか解き明かします。EBMを重視した質の高い診療と、家庭医療の理論に立脚した包括的な視点を踏まえ、互いにどういった違いがあり、どのようにコラボしているか、実例を踏まえながら地域で患者を診るとはどういうことなのかをみなさんと一緒に考えたいと思います。

テーマ:心理職と家庭医のコラボレーション

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:樫尾明彦(給田ファミリークリニック)

家庭医療の理論体系の一つである生物心理社会モデル(Bio-Psycho-Socialモデル)に代表されるように、家庭医療の現場では、睡眠障害、飲酒問題、適応障害やうつ病、不安、さらに家族関係の問題や不登校など、心理的な問題の相談が多い。一方米国では、カウンセリングが医療保険の適応になったり、国を挙げて家庭医診療所への心理職の配置や家庭医と心理職の連携を進めており、家庭医と心理職のコラボレーションが密に行われている。実際、心理職の早期介入により医療費が削減できたという海外の研究結果(文献1)もあり、今後の日本の医療費を考えても家庭医療の現場での心理面への介入は必要となってくるだろう。日本では2019年に国家資格である公認心理師が誕生したことから、家庭医療における心理職との連携も徐々に話題になってきている。しかしながら、心理職の具体的な業務や活動が見えにくかったり、人事、経営コストの点からも、心理職を常勤として雇っている家庭医療のクリニックは、非常に珍しい。ただし通常の診療時間内で医師が心理的な問題への対応に十分な時間を作れるとは限らない。このような現状をふまえ、家庭医と心理職のコラボについて、米国での取り組み、日本での具体例を示すとともに、学生、初期研修、卒後何年経っても役立つことを考え、基礎的でかつ実践的な、心理学的スキルを今回のワークショップで紹介したいと考える。

文献1.Rosario Falanga, et al. Co-presence of a family doctor and psychologist in the management of patients with psychosocial and somatic symptom disorders. Medical Science Pulse 2019 (13).

テーマ:診療所看護師の思考と視点

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:中平英里

皆様に看護の魅力を感じていただきたく、今年もやってまいりました!看護師はどの職種にとっても身近な存在だと思います。しかし看護師の視点や思考、役割をご存知でしょうか?さらに診療所の看護師の役割や働き方となると、イメージし難いことでしょう。診療所の看護師は、医療行為や身体的なケア以外にも、たくさんの役割を担っています。住み慣れた地域で、その人らしく暮らしていくために、診療所の看護師が患者の背景、生活の場をどのような視点で捉え関わっているのかについて、本セッションではワークを通じて体感します。職種を超えて、一緒に診療所の看護師について学んでみませんか?今後現場で働く上で、多職種でよりよく協働していくためのきっかけをつくりましょう!

テーマ:救急外来

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:岩浪悟(東京都立多摩総合医療センター 救急総合診療部)

皆様は救急外来と聞いてどんな場面をイメージしますか?とめどなく来る救急車、そこに立ち向かう救急医みたいな状況を思い描くのではないでしょうか。しかし実際は、それとは少し異なった状況であることを多く経験します。当院では家庭医療/総合診療医が救急外来のマネジメントリーダーを務めることもあります。また、多くの救急外来に来院された患者さんが入院ではなく、帰宅されます。その患者さんは、それぞれに来院するに至った理由をお持ちです。しかし、救急外来の中では、その理由を適切に掴むのが難しかったり、また、診断や方針決定に悩むことが多くあります。“この患者さん、結局なんで来院したのかな?診断もよくわからないし・・・“また、様々な問題を残したまま帰宅になる場合も多くあります。“入院の適応はないけど、このまま帰宅しても大丈夫なのかな?”救急外来でこうしたモヤモヤを抱えた場合、実は家庭医療的アプローチが役に立つことがあります。今回のセッションでは、救急外来で初期研修医の方々が感じやすいモヤモヤや、不安に対して、方針決定のポイントを家庭医療的アプローチの方法と共に一緒に考えていきます。

4コマ目(8月14日(月) 9:00~10:50)

●現地開催

テーマ:在宅医療

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:江口 幸士郎(今立内科クリニック)

在宅医療とは、どのような医療でしょう。「患者の家に行って行う医療」という答えでいいのでしょうか。なぜ、家庭医は在宅へ赴くのでしょう。「患者が動けないから」という答えでいいのでしょうか。動けなくても遠隔医療を受けることはできますし、寝たきりでも、介護タクシーを使えば通院することができます。病院に来て貰えば医師の負担も少ないですし、さまざまな多職種、検査機材の助けも得られ、効率的に医療を提供できます。それなのに、「医師が非効率を承知で家に行く」理由はなぜでしょう。家庭医は、病棟や外来とは違った何かが見えているからこそ、在宅医療をおこなっているのでしょう。今回は家庭医の中でも在宅医療に関心のある、在宅医療連合学会次世代委員会のメンバーと一緒にその答えを探しに、患者宅へ訪問してみましょう。

テーマ:多疾患併存

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:大浦 誠(南砺市民病院 総合診療科)

日々の診療において多疾患併存(マルチモビディティ:以下マルモ)の患者は避けて通れません。複数のプロブレムの中から優先順位をどうつけるのか。不確実な中で患者と意思決定をどのように行うのか。過不足のない介入になるために複数の医師や医療・介護福祉専門職との連携・協働をどのように行うのか。まさに総合力を試されます。本セッションでは医学書院の週刊医学界新聞で「ケースで学ぶマルチモビディティ」で連載している筆者の病院で総合力を身につけるために実施している「マルチモビディティをバランスよく見るための妄想力を鍛えるカンファレンス(通称マルモカンファレンス)」を実演しながら,マルモのみかたについて学んでいただきます。マルモ診療を知りたい医学生だけでなくどのような職種でも楽しめます。マルモカンファレンスで大活躍する豪華メンバーが皆さんとの化学反応を楽しみにしてます。

テーマ:病院経営

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医

代表講師:江角悠太(志摩市民病院)

全国に8000ほどある病院、その中でへき地医療を担っている約1000病院。そのへき地病院で今、院長のなり手がいない、という問題が起こり始めた。その地域に唯一の病院であり、医療圏人口数千〜数万を背負っている、地域包括ケアシステムの根幹をなすいわゆるCommunity Hospitalの運営は、まさに総合診療医の能力が求められている。既にCommunity Hospitalで院長を経験された総合診療医たちによる、次の世代の院長候補生たちに送る授業+ワークショップです。実際の病院経営の事例を踏まえてディスカッションします。

テーマ:心療内科(メンタルヘルス)×家庭医療

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:河原直親(横浜つづきクリニック)

第三世代の行動療法であるACT(Acceptance and Commitment Therapy)を学びます。あなたは医療従事者として、どのようになりたいですか。何を大切にして目の前の患者さんに接したいですか。ACTはあなたにとって本当に重要で意味のある事 ―価値― を明らかにし、その価値に動機付けられ、人生を豊かにする行動をとるのを助けます。しかしながら医療の現場にはたくさんの困難な出来事や、挫折などの障壁が待ち受けています。治療がうまくいかなかったり、先輩に怒られたりして自己評価を落とし、落ち込むこともあるでしょう。ACTはまた、これらの辛い思考や感情の障壁を効果的に対処していくための心理的スキルも教えます。自分に対して自ら心理療法を行うのです。

また、心と身体を切り離して考えることはできません。身体的な痛みや苦しみを抱えた患者さんは、精神的な苦しみをも背負わされます。そのような患者さんに対してACTを実践すれば、より深く、患者さんに寄り添った診療が可能になります。患者さんにも、自分にも有効な心理的柔軟性を獲得する技法をわかりやすく解説して実践します。

●オンライン開催

テーマ:病院家庭医・診療所家庭医・病院総合診療医の働き方

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医

代表講師:渡部健(秋田大学医学部男鹿なまはげ地域医療・総合診療連携講座/秋田大学医学部附属病院総合診療医センター)

日本の「総合診療医」は、一言では言い表せないほどの多様な働き方があります。家庭医? 病院総合診療医? 地域総合診療医? 私たちは、働く地域も、施設の規模も、働き方も、完全に異なりますが、「総合診療医」として自信を持って働いています。このセッションでは、たまたま昨年「教育」という共通点で1年間学びあった仲間が現在どのように働いているかをシェアし合いながら、総合診療医の多様な働き方を体感してもらうことができます。総合診療医になりたい!けれど、どんな働き方ができるの?という疑問をお持ちの皆さん、きっとこのセッションは皆さんにとってのみちしるべになるのではないかと思います。総合診療医の多様なキャリアパスに触れ、ロールモデルに出会い、その先生方の実際の現場を見学するなど次のステップへの足がかりとなるセッションにできればと思います。総合診療という大海原で少し道に迷っている/迷いそうな皆さんのご参加お待ちしています!

テーマ:アカデミックGP

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:一瀬直日(岡山協立病院総合診療科)

アカデミックGPとは、プライマリ・ケアの文脈をテーマにした臨床研究を行うことによって、臨床医と研究医の間のギャップを埋めるエビデンスを構築していく家庭医・総合診療医たちのことです。3年連続大好評だった本企画をさらに改訂し第四弾として行います。このセッションでは、日本のアカデミックGPたちが卒後どのようにしてキャリア形成しながら臨床研究を行ってきたか、を紹介し臨床研究の魅力をお伝えします。忙しい日常診療業務とどのようにバランスをとったのか、どこでどのようにして研究を学んだか、家族との時間はどうしたのか、などこのキャリアパスの魅力を存分にお伝えします!セッションの中で紹介することは、①私の学生・研修医時代 ②私の日常生活 “新企画”③専門医取得後のキャリアパスの転換点(それは偶然?、それとも自力で勝ち取った?) ④アカデミックGPへ進むことになった人物との出会い ⑤臨床研究テーマが決まったきっかけ ⑥臨床研究を学んだ・学んでいる場所と方法(大学、大学院、海外留学、オンライン大学院など)の紹介 です。参加者は2つのグループに分かれ、前半後半45分ずつ計2名の講師のプレゼンテーションを聞き、自由質問を行えます。今回から1セッションを30分から45分に拡張し、よりじっくりと深く講師に直接質問できるようにしました。アカデミックGPたちの多様なキャリアパスを知ることで、参加者それぞれが具体的な将来像を思い描くことができることと思います。

テーマ:海外と日本の家庭医療

対象者:低学年医学生(1~2年), 中学年医学生(3~4年), 高学年医学生(5~6年), 研修医, 医療系学生, 看護師/薬剤師

代表講師:芳賀洋文(Senior Medical Officer (Rural Generalist), QLD Health, AUSTRALIA/Honorary Senior Lecturer, The University of Queensland Rural Clinical School/神戸大学医学部 臨床講師)

近年、海外は益々身近なものになっています。観光だけでなく、様々な分野の日本人プロフェッショナルが渡航し、一方、諸外国からも多くの短期・長期来日者が日本に貢献しています。また、医療分野での国際的な事業、研究や人材文化交流も盛んです。国際化の風潮は今後益々高まり、医療人やその学生も時代の変遷に対応せねばなりません。医療のフロントラインに立つ総合診療医がその一翼も担うニーズも増えると思います。
このセッションでは、オーストラリアのUniversity of New South Wales医学部卒で総合診療医(FRACGP)・へき地ジェネラリスト(FRACGP-RG)の講師と日本の医学部卒でベテランのオーストラリア総合診療医(FRACGP)の共同講師が、オーストラリアの主に総合診療(General Practice:通称GP)やGPのサブスペシャリティーへき地ジェネラリスト(Rural Generalist)について紹介しながら、日本の第一線で活躍中の総合診療や地域医療のスペシャリストと、日豪(Australia-Japan)国際コラボレーションで、海外留学について皆様と一緒にオープンディスカッションしたりグループワークで楽しく考えていきたいと思います。

テーマ一覧

患者中心の医療の方法とは、患者の抱える疾患をはじめとした問題・治療の目的やゴール・それに向けて医療者と患者が果たす役割の共通認識を持ち診療を進める手法のことです。患者の疾患(disease)や病い(illness)を探り、患者を取り巻く環境や経験を共有し、医師-患者で共通の理解基盤を見出すことで、患者の人間性を尊重して医療を行うことができます。

患者さんを襲うのは症状による苦しみだけではありません。患者さんを取り巻く生物的(biological)、心理的(psychological)、社会的(social)側面それぞれの関連に着目して考え、様々な領域の医療者や周囲の人々や行政が連携することが重要です。

地域の健康に影響をもたらす重要な要素を「健康の社会的決定要因(SDH, Social Determinants of Health)」と呼びます。SDH には10の項目があげられており、SDH によって集団間や地域間の健康格差が生み出されるとされています。

EBM(エビデンス(根拠)に基づく医療)は、利用可能な最良のエビデンスを踏まえて診療を決断する大切な手段です。科学的根拠を当てはめるだけでなく、患者さんの意向や環境、医療者の臨床経験から総合的に判断し、より最適な選択をすることが重要です

病いは患者の心身だけでなく、これまでの生活など数多くのものを壊し、混乱と苦悩をもたらします。NBM(物語に基づく医療)では患者の主観的な筋道を立て物語として解釈することで現在の状況に新しい意味を見出し、患者自身の未来への居場所を作り出すことを目指します。

患者の行動を変える、すなわち行動変容してもらうにはその患者の段階にあった支援が非常に重要とされています。行動変容は無関心期、関心期、準備期、実行期、維持期の5つに分けられています。また、各段階に情報提供や目標の設定、アドバイス、励ましといった介入のポイントがあります。

人生の最終段階において、どのような治療や療養を受けたいか、患者本人を主体に、家族や医療従事者が、繰り返し話し合いを行って価値観を共有することで、これからの治療やケアの目標や内容を明確にする、プロセスのことです。話し合いの結果は定期的に見直され、ケアに関わる人々の間で共有されることが望ましいです。

医療面接とは、問診や病歴聴取だけでなく、患者の健康状態について、医師-患者で交わされるコミュニケーションのことである。医療面接を通じて、情報収集や医師-患者関係の確立、知識の共有や治療を行うことができます。

臨床推論とは、診断や治療を決定する上で、患者の主訴(症候)が説明可能な疾患(鑑別診断)を挙げ、ひとつひとつを体系的・分析的アプローチで診断する思考過程のことです。臨床推論には、医学的知識はもちろん、情報収集のためのコミュニケーションスキルや分析能力も重要となってきます。

アカデミックGPとは、主に大学で研究・教育を中心に働く総合診療医のことです。細分化された研究と、総合的に診療する臨床の現場の距離を縮めることが期待されています。